ミントの香りがするガムの味
いつまでも消えないで
消えないでと願ってた
本当は少しだけ苦手だなんて
言えなくて
口の中
放り込んで苦笑い
大事に噛みしめながら思い出す
銀の手
指先が
触れたあとすぐ離れた
小さな銀色の包み紙は
ポケットにただ一つ
君がくれた宝物
届かなくても満たされてた ここにいるだけでも
見落としそうなエピソード
ガラクタみたいでもちゃんと光ってた
丁寧にシワを伸ばして机の奥大事にしま
ってた
まんまるお月さま笑うたびに
私は
少しずつ
少しずつ大人になる
ミントの香りがするガムだって今では息をつく
ために欠かせない一つ
時より思い出すだけの思い出に変わってく
いつの間にかなくしてた好きなものが増えてくその陰で
それでもあの日の先にこうして今
私は立っている
きっと
忘れてゆくことにも意味がある
小
さな
私のエピソード ミントの香り夢と共にある
丁寧にシワを伸ばした宝物は記憶の隅で眠るから
届かなかった想いは形を変え
私の中に住む
忘れたふりをしながら心地のいい痛みを残してく
すべて
忘れるわけなんてないんだって
繋ぎ合わせたらガラクタも光りだす
05:07