メロスは単純な男であった
買い物を背負ったままでのそのそ王城に入っていった
たちまち彼は巡羅の経緯に捕獲された
調べられてメロスの懐中からは探検が出てきたので
騒ぎが大きくなってしまった
メロスは王の前に引き出された
この担当で何をするつもりであったか
いえ
暴君ディオニスは静かにけれども威厳をもって問い詰めた
その王の顔は蒼白で
眉間のシワは刻み込まれたように深かった
町を暴君の手から救うのだ
とメロスは悪びれずに答えた
お前がか
王は便称した
仕方のない奴じゃ
お前にはわしの孤独がわからぬ
言うな
とメロスは怒り立った
人の心を疑うのは最もはずべき悪徳だ
王は民の忠誠をさえ疑っておられる
疑うのが正当の心構えなのだと
わしに教えてくれたのは
お前たちだ
人の心はあてにならない
人の心はあてにならない
人間はもともと私欲の塊さ
信じてはならぬ
坊くんは落ち着いてつぶやき
ほっとため息をついた
わしだって平和を望んでいるのだが
何のための平和だ
自分の地位を守るためか
今度はメロスが嘲笑した
罪のない人を殺して何が平和だ
黙れ下船の者
王はさっと顔を上げて報いた
口ではどんな清らかなことでも言える
わしには
人の腹綿の奥底が見えすいてならぬ
お前だって
今に張り付けになってから
泣いて詫びたって聞かぬぞ
ああ、王は利口だ
うのぼれているがよい
私はちゃんと死ぬる覚悟でいるのに
命声など決してしない
はい
はい
ただ
と言いかけて
メロスは足元に視線を落とし
瞬時ためらい
ただ
私に情けをかけたいつもりなら
処刑までに三日間の日限を与えてください
たった一人の妹に
亭主を持たせてやりたいのです
三日のうちに
私は村で結婚式をあげさせ
必ずここへ帰ってきます
馬鹿な
と坊くんは
しわがれた声で低く笑った
とんでもない嘘を言うわい
逃がした小鳥が帰ってくるというのか
そうです
帰ってくるのです
メロスは必死で言い張った
私は約束を守ります
私を三日間だけ許してください
妹が私の帰りを待っているのだ
そんなに私を信じられないならば
よろしい
この街にセリヌンティウスという異色がいます
私の無二の友人だ
あれを人質としてここに置いていこう
私が逃げてしまって
三日目の日暮れまで
ここに帰ってこなかったら
あの友人を占め殺してください
はい
頼むそうしてください
それを聞いて王は残虐な気持ちでそっとほくそえんだ
生意気なことを言うわい
どうせ帰ってこないに決まっている
この嘘つきに騙されたふりして話してやるのも面白い
そうして身代わりの男を三日目に殺してやるのも気味がいい
人はこれだから信じられぬと
わしは悲しい顔してその身代わりの男を卓球に処してやるのだ
世の中の正直者とかいうやつばらに
うんと見せつけてやりたいものさ
願いを聞いた
その身代わりを呼ぶがよい
三日目には日没までに帰ってこい
遅れたらその身代わりをきっと殺すぞ
ちょっと遅れてくるがいい
お前の罪は永遠による
許してやろうぞ
何何おっしゃる
ははは
命が大事だったら遅れてこい
お前の心はわかっているぞ
メロスは悔しく自断だ踏んだ
物も言いたくなくなった
ちくぶり
一羽の友セリヌンティウスは深夜往生に召された
暴君ディオニスの面前で
良き友と良き友は二年ぶりで相逢うた
メロスは友に一切の事情を語った
セリヌンティウスは無言でうなずき
メロスを必死と抱きしめた
友と友の間はそれでよかった
セリヌンティウスは無言でうなずき
縄打たれた
メロスはすぐに出発した
初夏満天の星である
セリヌンティウスより音も聴いた
するかの人たちがマバイについた
ife
んだよ
なので
ご視聴ありがとうございました