その昔、
姫路城の天守、
西城会に
富姫という美しい魔物が住み、
恐れられていました。
そこへやってくる若き高城、
図書之助との物語。
姫
路天
守の
御寿庭
下界の人のけがれはいらぬ
私の可愛い亀姫
とのの白鷹
あげましょう
真白き真白き真白き羽根に導かれるは
図書之助
片
割れ月も見えぬように浮ぶは一人、人の影。
誰?
戻らぬ鷹を探しに参りました。
ここは人間の来るところではない。
命がおしゅうないのか。
すでに鷹を逃した罪で、切腹をせつかった身。
仰せのまま命を差し出します。
清き心で話し、惹かれ合う二人。
お勇ましい、
凛々しいお方、
お名が聞きたい。
姫川図書之助と申します。
私を見たとなれば救われるのか?
印にこの竹だけ代々秘蔵する兜、
持ち帰りなさい。
かぶと盗んだ
罪人と
図書様覆れ、かく舞う天守
霊力になぎる獅子の眼を
折
って
刀で
傷つける
見えない、見えない、見えないあなた
闇に
さまよう
天守閣
獅子頭の霊力で守られていた者たちは、目が見えなくなりました。
姫君、
どこにおいでなさいます。
私は目が見えません。
目が見えません。
図書様、
私も目が。
見えなくなっては、また追手が来ると助けられない。
堪忍してくださいまし。
悔やみません姫君。
あなたのお手にかけてください。
ええ、
その代わり、私も生きてはおりません。
ただ、あなたのお顔が見たい。
ただ一目。
もとせももとせに、ただ一度。
たった一度の恋なのに。
霊魂
とろく
現れて
獅子の眼直し、
二人を救う
あなたの眼差し、
その奥に
月の
光が
見えました。
愛しい、愛しい、愛しい人よ。
心
寄せ合う
白の城。