15の春に弟子となり
親方さんに叱られて泣いて覚えた盛ん行
真面目さだけが心情の俺の親父は生きてきた
改めて言うことなどありはしない
どこにでもあることはない
話し親父の人生さ
見合いでもらった母ちゃんと
持った書体は古ぼけた三原長屋のど真ん中
俺が生まれたその年に鉄砲担いで満州へ
手のこてを
手のこてを
鉄砲に持ち替えて
どこにでもある話
親父の人生さ
子供を育てるその時は
好きな酒さえ我慢して
壁塗り仕事に泥まみれ
日本の太いあの腕が
一家五人の命綱
考える暇もなく
過ぎてゆく
どこにでもある話
親父の人生さ
ビー玉パンパンかくれんぼ
いつも遊んだ路地裏は
疲れて帰る父ちゃんの
たった一合の二球種を
毎日買いに通う道
楽しみは晩飯の
いちご酒
どこにでもある話
親父の人生さ
今の仕事が終わったら
買ってやろうグローブを
約束すると出て行った
腰に弁当をぶら下げた
後姿を思い出す
慣れさせた Santa Gomez
やっと帰るのも
よいしょ
この世なえ
で何を
中で
誰なの
お前を
夢を
人生を
作る
如此
終わり
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